> 「原宿の母」とは
はじめはデザイナーになる、と思って広島から上京。おしゃべりするのが好きで、バスガイドのアルバイトを始めたら、人気が出ました。東京バンタンデザイン研究所卒業後はデザインの仕事もしつつ、バスガイドも続けてたけど、会社の重役に奇抜な通勤スタイルを目撃され、即刻クビになりました。その後、パントマイムの振り付け師、結婚式場の巫女、風呂屋の番台、田植えのアルバイトなどを転々。やっと勤めた企画会社も一年ももたないうちにあえなく倒産してしまい……。途方に暮れて、「この先どうしようか」と原宿の路上を歩いていたら、「占い師」のおじさんがいました。そうだ! あのおじさんに見てもらって決めよう、と直感で思いました。見てもらってるうちに「これだったら私にもできる」とそう思って、「おじさん、そこをどけて! それだったら私もできる!」と翌日から風呂敷を敷いて、段ボール箱を置き「原宿の母 菅野鈴子」と書いて始めました。
実は占い師で生活できている人は、本当に少ないと思います。今は占い師の人がすごい多いから特に競争率が高いと思う。私も突然始めた占い師のお仕事は、最初から上手くいく訳はなく、アルバイトをしなければ食べられなかった。きちんと占いの勉強をして、今でこそやっと食べられるようになったけれど、本当に厳しい世界だと思います。でも、苦労をしたほうが人の事にも思いやりが持てるようになると思うし、私ももっと人に対しての思いやりを持つようにしないといけないと思っています。 カリスマ占い師にはなれないし、なろうとも思っていません。みんなが悩んでいるときに、いつもそばにいてあげられるような、身近に感じてもらえる占い師になれたらいいな。
お客さんを不幸にしたら倍返し。幸せになってくれたら自分も幸せになれると思ってやっています。昔は怖いもの知らずで言いよったけど、お金をもらうようになってからは責任で押しつぶされそうにもなった。たくさんいる占い師の中から私を選んできてくれて、人に言えない悩みを打ち明けてくれて……。今この人に向き合わんといけんと思っても、次に待ってる人がいると気になったり。今はたくさんの人に「救われた!」なんて言ってもらえるけど、逆に自分もそれで救われてるからね。そういったお客さんの言葉が本当にうれしいです。占いは絶対ではないから、当たるというより、何か自分で気づいてもらえればうれしいです。
ここまで読んでくれてありがとうね。
占いは当てものではありません。占いをする事によって何か自分で気がついていただければ良いと思います。人間は一人では生きてはいけません。高校生のとき、こんな事がありました。両親から「三人とも座りなさい」と兄弟とともに座らされ、「今一番大切な人は誰だと思う?」と聞かれました。兄弟が「お父ちゃんとお母ちゃんです」と言うと、父と母は「違いますよ。一番大切なのは先祖。先祖がいるからお前たちがいる。次は自分。お父ちゃんお母ちゃんは子供が苦しむ姿を見るのはつらい。だから二番目には自分を大切にしなさい。そして、三番目が友達。今日お前たちが幸せでいられるのは友達のおかげ、その友達を粗末にする事は許さない。だからお父ちゃんお母ちゃんは最後ですよ」そんな話をしてくれました。今でも母は健在ですが、いつもこう言ってくれた事を誇りに思っています。両親が私に言ってくれたように、自分自身を大切にしてくださいね。占いは自分を知る、良い手がかりになりますよ。
菅野鈴子(原宿の母)
占い師歴三十余年。九星気学、タロットカード、西洋占星術、手相等で鑑定を行なう。原宿の路上での鑑定を中心に活動、「原宿の母」の愛称で親しまれている。テレビ・ラジオへの出演、書籍・雑誌等への掲載多数。社員研修、講演、全国各地デパート等でのイベントも展開。
著書に『花咲かスーちゃんのここ掘れワンワン─めざせ明日のスーパー・クリエーター!』(現代書林)『イマージ・シェイプ─スーチャンの星座による催眠美容』(アドア出版)などがある。
現在、メディアで活躍中の手相芸人・島田秀平は「原宿の母」の弟子であり、「スーちゃん」「秀平くん」と呼び合う程仲が良い。
■FRaU占い特別号「2012年下半期 星座と私の運命」掲載!
2012年6月22日(金)発売
講談社
菅野鈴子先生の監修でタロット占断特集が組まれています。
特製タロットカードの付録つき! 先生の鑑定さながらに
タロット占いが楽しめます!