12月の年中行事|正月事始めや冬至。年越し蕎麦まで解説
目次
12月13日 正月事始(ことはじめ)・煤払い・松迎え
現在では、仕事納めや大晦日に大掃除する会社や家庭が多いですよね。江戸時代には、12月13日に大掃除である煤払(すすはら)いが行われていました。
なぜ、煤払いと言うのでしょうか?それは、むかしは薪を使って煮炊きをしていたので、家の中の煤を払わなければいけなかったからです。江戸時代は江戸城の年中行事のひとつでした。それから江戸市中でも行われるようになったのです。
じつは、煤払いを行う理由は、家の中をきれいにするためだけではありません。
煤払いには、その一年の間についてしまった罪や穢れを払って、清め、新年の歳神(としがみ)様を迎えるという目的があります。家を清めて、身体を清めてから、正月を迎えるための大切な行事でした。
煤払いの手順
煤払いは、神様が通る道に従って行います。
①神棚の掃除
まずは神様のお家である神棚を綺麗にします。
②玄関
次に、神様が入ってくる玄関を掃き清めます。
③部屋
神気が充満するように、部屋全体を掃除しましょう。
④入浴
煤払いが終わったら入浴して、自分も清めましょう。シャワーよりも良いですが、入浴をした方が更に良いです。
お風呂から出たら、神棚にお粥やお団子と御神酒などをお供え※してください。そして、神棚に供えたお下がりを家族全員で食べさせていただきます。
※お供えに注意
お供えは、牛や豚などの4本足で歩行する動物の肉「四つ足」はお控えください。神道では、神事当日に四つ足の肉を食べると穢れると云われます。
神社Tips! 歳神様
歳神様とは、毎年お正月に各家々に訪れて新しい年をもたらすといわれる神様のことで、俗称を「正月様」と言います。
ほかには、歳徳神とも呼ばれ、吉方位の神様として扱われています。その年ごとに吉方位があり、吉方位を恵方と言います。恵方巻きは吉方位、つまり恵方に向かって食べますが、風習の由来は歳徳神なのです。
また、新年にその年の豊作をもたらす神様が降臨するという歳神信仰や、年神様とご先祖様を同一視して祀る信仰が、年神様(歳徳神)の一番古い姿であると考えられています。
松迎え
正月ことはじめの中には、松迎えも含まれています。松迎えとは、玄関に飾る門松や正月飾りに使う松を山に取りに行くことを言いますが、現代では、お正月用の松を取り扱っているお花屋さんに行くことになりますね。
新年に向け、家中を清めて正月飾りを揃えることで気持ちよくお正月を迎えましょう。
12月中旬〜下旬 歳(年)の市
「年の市」は、「歳の市」とも書きます。年の瀬、つまり、年末の神社で、お正月用品や縁起物を揃えた市のことを言います。
江戸時代の江戸の「年の市」は、江戸の大市といわれた浅草観音年の市や、神田明神年の市、芝明神年の市、芝あたご年の市、平川天神年の市などでした。
現代では、深川八幡宮、世田谷のボロ市、平河天神などで行われています。とくに浅草の観音様では17日から19日に行われる羽子板市が有名です。
■浅草観音の羽子板市の様子
「ハレ」とは、非日常のお祭りであり、日頃食べられない高価なものを家族で食べて、盛り上がるのです。
また、神道では、神様は人々が喜ぶことを喜びとされることから、品物が破格の値段となり、お客様は安くなった品物と幸せを求めて、年の市は賑わいました。 お正月の福袋は有名ですが、実は年の市の方が格安の掘り出し物が多いかもしれませんね。ぜひ、チェックしてみてください。
12月22日 冬至
冬至は一年で最も昼の時間が短く、夜の時間が長くなる日です。
冬至は太陽の力が最も弱まる日であることから、隠の気が最も高まる「死に最も近い日」だと考えられてきました。そんな冬至にはいくつか習慣があります。
ゆず湯
隠の気が高まる冬至にゆず湯に入ると邪気が祓われ、疫病などにかからないよう神様からお守りいただけることから、ゆず湯は習慣になっています。隠の気の頂点に達したら陽に転ずるので、禊としても役割もあるそうです。
カボチャ
カボチャを食べると、無病息災で来年を越すことができると言われています。
カボチャは夏野菜ですが、保存力が高いため、冬まで栄養素を保ったまま保存できます。緑黄色野菜の少ない冬にカボチャを取っておいて食べるというのは、昔の人の知恵でした。
西洋のまつり、収穫祭でも使われるところからも、カボチャのパワーは絶大だということが感じられますね。
12月23日 上皇陛下お誕生日
昭和8年12月23日は、上皇陛下の御誕生日です。
1990(平成2)年第125代天皇が御即位されました。後の上皇陛下明仁様です。そして元号が昭和から改元し平成の御代となりました。平成の世では上皇陛下の誕生を祝い、12月23日が祝日でしたが、令和になってから天皇誕生日の休日は2月23日に変更しました。
12月28日までに門松、正月飾り
12月の終わり、最近では、クリスマスの12月25日の翌日には、会社やデパートのエントランスに門松が立っています。キリスト教(クリスマス)から神道(お正月)の光景に様変わりする手早さは見事ですよね。
お正月は神道行事と聞くと少し驚きますでしょうか。
しかし、お正月は元々、歳神さまを迎える神事なのです。
例えば、玄関に門松を立てる風習は典型的。門松を立てることによって、門松を依代として歳神様を集めているのです。この門松の風習は、実は神社と同じ仕組みです。
諸説ありますが、神社という建物に常に神様がいらっしゃるわけではありません。神様は空の上の神界にいらっしゃいますので、神社の神主さんが、「祝詞(のりと)」を奏上して、神様を降ろすわけです。
神様は祝詞を聞いて、神社や榊を依代として降りてきます。この依代のことを神籬(ひもろぎ)といいます。門松はいわば、一般家庭版の神籬というわけですね。
門松を立てる期間は決まっている
門松をつくるのは正月のことはじめと同じく12月13日とされていたようです。
門松も正月飾りも30日までには立て終えたり、飾るのが一般的ですが、31日に立てたり、飾るのは一夜飾りと言って忌み嫌われました。滑り込みで慌てて門松を立てるのは、神様に対して失礼になるからです。なるべく早めに用意するのがおすすめです。
神社Tips! 鏡餅は何のために飾るの?
正月飾りには、鏡餅などがあります。これは、神様が滞在するための依代でもあり、神様に捧げるお食事、ご神饌(しんせん)としても飾っているのです。お正月が過ぎれば歳神様のパワーが宿ったお餅を食べることで力がつくそうですよ。
12月31日 年越しそば
年越しそばの起源は鎌倉時代であるなど、諸説あります。しかし庶民の間に定着したのは、江戸時代のようです。
江戸時代、大阪では年越しそばのことを「そば切り」と呼んでいました。そばは長いですが切れやすいので、今年の付いた厄を切る為に年越しそばを食べたりしていたのだとか。
呉服店などの大店(おおだな)などで、主人や番頭、店員たちで大晦日にそばを食べたり、庶民も家庭で年越しそばを食べていたようです。
また、そばのように命が細く長く続きますようにと「延命長寿」を祈念しながら食べることも重要です。そして、新年も良い年になりますようにとあわせて、年越しそばを食べながらお祈りすれば完璧ですね。
余談ですが、おそばと共に海老天やかき揚げをトッピングすると金運の効果もあるとか。
大晦日になんとなく食べている「年越しそば」ですが、意味を知ってからいただくと感慨深く、また一層意味のあるものになります。今年は厄払い、延命長寿、金運向上を願って年越しそばを食べてみてくださいね。